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ピラミッドに向かって走る孫燕姿 [音楽]

youtube動画の貼り付け練習もかねて、こんなネタを持ってきた。

燕姿(イェンツ)は前から好きな歌手なので、こういう企画は素直にうれしいですね。ロケ地以外、特にエジプトっぽさはないのですが。

このメガネはどうかと.. [音楽]

0ce27484.jpg先日の夜噺ではナンシー・アジュラムのライブ映像を見て頂き、彼女のセクシーさ加減を堪能してもらいました。

これですっかりナンシーの魅力のとりこになってしまったという方にとっては、朗報なのか悲しむべきニュースかは分かりませんが、彼女の新譜は全編「子供向け」になることが明らかになりました。くわしくはLahaこの記事(pdfファイル)を参照のこと。

また、Elaphalbawaba.comによれば、「Shatir, Shatir(良い子、良い子)」という曲のビデオクリップ撮影も始まっているとのこと。

上の写真はそのビデオの一コマですが、うーん。どうかと。まあ代わりと言っては何ですが、上記のLahaにはもうちょっとかわいい写真が載ってますのでどうぞご覧下さい。

アバーヤを脱いだ新人歌手 [音楽]

bc9f38fb.BMPなんだかマフムード・アル・エセイリーばかりを褒めているけど、今回のエジプト旅行でのナンバル・ワンは、彼ではありません。この人です。

僕が留学開始した2000年から、このアマール・マーヘル(当時は「アーマール..」だった)という歌手のことはよくテレビで見てたんですが、その後の活躍が全然つかめなくて、やきもきしていました。それがここに来て、ようやくブレークしたようで、すでに7年間待たされた僕としてはうれしいったらないですよ。

7年前と言ったら、第二次インティファーダが始まった年、アラブポップスの世界ではそれに連動して、いろんな歌手がパレスチナ支援ソングを発表していました。そんな時に、当時確か18歳だった彼女は、アラブ風オーケストラをしたがえ、伝統アラブ歌謡のスタイルでもって「アラビーヤ、アルドゥ・フィラスティーン!(アラブ民族、パレスチナの土地よ)」という民族主義的内容の歌を歌っていたものでした。この曲は当時、国営テレビでことあるごとに流されて、ホントに毎日のように聴かされました。

またある時は、10月6日などエジプトの国家的祝祭の日に、オペラホールの舞台に立ってウンム・クルスームの歌を朗々と歌う姿が中継され、客席のムバーラク大統領夫妻もご満悦、というシーンをみた覚えもあります。歌唱力は大統領認定!といった感じでしょうか。

とにかくその頃の彼女と言ったら、若いのに古めかしい曲調の歌を歌い、それが国民的人気、というか国家的賞賛を受けていて、エジプトでテレビを観ている人なら知らない人はいないくらいだったのですが、それでも他のポップスターのようなビデオクリップなどは作らず、それ以前にカセットさえ売り出さず、「一体何者なんだ?」と僕は非常に不思議に思ったものでした。

それ以上に僕が感銘を受けたのは、彼女のルックスの良さです。いやこれは冗談でなくて。当時はエジPOP界にはルビーはおろか、シーリーンさえ現れてませんでしたから、彼女のように若くてきれいな歌手でエジプト人、と言うのは、本当に奇跡のような存在だったわけです。少なくとも僕にとっては。

で、今回の突然のイメージ・チェンジです。僕は最初彼女のアルバムを店でみたときに、「(アーマール・マーヘルと)よく似た名前の新人だなあ。スターアカデミーか何かか?」と思ましたが、CD屋の店番のお姉さんに彼女が何者か聞いたところ、「アマール・マーヘルがスターアカデミー出身だって?まさか!彼女は昔、ウンム・クルスームのオペラを歌っていたのよ!」と言われ、ようやくあのアーマールとこのアマールが同一人物であることに気づいたのでした。

彼女のイメチェンの裏に何があったのか分かりませんが、調べてみるとElaphなどでも記事になっていました。

Elaph「アマール・マーヘル、ウンム・クルスームの衣(アバーヤ)を脱ぐ」

販売元はAlam el-Phan、プロデュースはモフセン・ガーベル。かのアムル・ディヤーブを世界に送り出した(そして3年前に喧嘩別れした)、あの敏腕プロデューサーです。彼女の伝統歌謡の素養を生かし、東洋趣味的フレーズをほどよく織り交ぜつつ、いずれも聴きやすいポップスに仕上げています。全体の傾向としては「ロマンスィー」な感じでしょうか。エジプトの若者にも受けは良いはずです。

CDジャケット写真を見るとなんだか化粧やファッションが取って付けた感じでおぼこい風情が見て取れますが、たとえばこのビデオクリップなどをみてみて下さい。

YouTubeより

ルックスではアンガームの上を行き、歌唱力ではある意味シーリーン以上、ルビーなどとは比べる手段さえありません。エジポップ界最強の女性歌手の登場ではないでしょうか?

「ちょいダサ」くらいでちょうど良い [音楽]

85338c1d.BMP今回買ったラティーファの新譜。チュニジア出身の彼女はアラブ圏で知らない人はいない有名人ですが、意外にも今まで彼女のアルバムは買ったことありませんでした。曲は色々聴いていましたけど。

今作の売りは、ずばり、「全編ズィヤード・ラフバーニーのプロデュース」!ズィヤードと言えばかのフェイルーズのご子息、レバノン歌謡のカリスマです。

1曲目でタイトル曲の「マアルーマート・アキーデ」(「デ」と読むのがレバノン流)で、のっけからやられました。これはもうアラブポップスじゃあありません。ジャズです。ていうかジョニ・ミッチェルです。ラティーファがこんな陰影のあるボーカルの持ち主だとは知りませんでした。今までの彼女のイメージと言えば、「インシャッラー!」とか、ユーセフ・シャヒーンのミュージカル映画とか、もっとボリュームで押すタイプかと思っていたんですが。

かと思うと2曲目では突如、伝統アラブ歌謡的アレンジになります。これはあざとい!あざとすぎるズィヤード!...こんな感じで、ジャズあり、ボサノバありと、そこいらのエジPOPなんかとはまるで別世界のサウンドです。これがズィヤードの力量なのでしょうか。

おそらくはラティーファ自身、かなりフェイルーズのボーカルを意識して、あるいは真似ているんだと思います。試しにこういうのと聞き比べてみればいいでしょう。

feiruz歌姫フェイルーズの、ズィヤードによる楽曲ばかりを集めたコンピレーション・アルバム。これも今回カイロで買ってきたのですが、他のCDの3倍くらいの値段がしました。まあそれはともかく。

しかし、いくら格好良くても、いくら癒されても、僕の感覚ではこれはアラブポップスじゃないんですよねえ。歌詞とかは今のところ全く聴いていませんが、こういう曲が聴きたければ、ホントのボサノバとか、ジョニ・ミッチェルを聴きます。

アラブポップスなんてのは、ちょっとくらいダサイ感じがいいんですよ。ちょうどこんな風に。
39e120d5.BMP
そんなわけで最近は、このマフムード・アル・エセイリーが意外と気に入っています。

エジポップファンの聖地 [音楽]

39e120d5.BMP今回のカイロ滞在では、念願かなってバージン・メガストアに行くことができました。前回の訪問記録はこれ

規模としては、ベイルートのメガストアほどではありませんが、ドバイのメガストアには匹敵します。ワンフロアながら、アラブ産の最新CD、DVDが網羅されており、エジポップファンがエジプトに来て必ず立ち寄らなければならない場所になりました。

もちろん、この手の大型店の常として、古めのソフト(特にカセット)の品揃えはイマイチであるため、「ムニールのデビューアルバムが欲しい」とか「シャアバーンの新作カセットが欲しい」という場合には、今までどおり下町のカセット屋をじっくり探すしかないのですが。

アラブポップスのカテゴリーは、エジプト、レバノン、湾岸の3地域。そのうちエジ・レバは「伝統」と「最新」の2ジャンルに分かれています。マグリブ(ライ)という棚は見あたらず、イラクは湾岸に含まれていました。

CDの価格は40エジポン(800円)で、町で買うより5ポンド(100円)ほど高いですが、品質は確かでしょう。輸入盤CDは100ポンド(2000円)以上します。映画のDVDは115ポンドでした。なお、ビデオクリップ集のDVDは置いておらず、VCDもありませんでした。その手のものは、通りで売っている海賊版を探すほかなさそうです。

写真は、店員に「お奨めのエジプト男性若手歌手は?」と聞いて勧められたマフムード・アル・エセイリー。今まで僕はほとんどノーチェックの人物でしたが、ターミルやムハンマド・ハマキーとならぶ人気者のようです。林家正蔵師匠のようなルックスからは想像の付かないような軽い歌い口と、洗練されていてあざとくもあるアレンジが、結構ツボにはまっています。

その他のディスクレビューはまたこれから徐々に。

2006年ベストアルバム [音楽]

91e4a7aa.JPG年が明けてからこういうことやるのもマヌケなのですが、恒例のベストアルバム5つを挙げておきます。

1位ターミル・ホスニー「僕の両目が君を愛してる」

1位にターミル、っていうのは結構な冒険かもしれません。このサイトでもあまり取り上げてませんし。それでも、僕のi-Tunesではかなりの回数聴いていて、意外と耳に残ってるんですね。打ち込みのリズムと、何だか弦が弛んでいそうなエレキギターのおかずがいかにも古き良き「エジポップ」っぽいですが、そんな保守的なサウンドに乗っかるターミルの歌唱は、年に似合わず恐ろしく安定してます。しかし、最近のエジプトの流行りなのか曲調はメロウなバラードが多く、こういうサウンドはエジプト以外のアラブ諸国ではあまり好まれないかも知れません。依然としてルックス面ではまだまだ改善の余地がありそうですし(体鍛えすぎ!)、私生活面では徴兵逃れで捕まったりと、いろいろと問題もあります。それでも現地での人気は一向に衰えていないようで、明日突然アムルやムスタファがいなくなってもこの人さえいればエジプトの芸能界は大丈夫、というくらいの安心感さえ感じさせます。

2位ムハンマド・ムニール「ドゥニヤ(サウンドトラック)

ハナーン・トルク主演映画Duniaのサントラです。ハナーンへの応援の意味も込めてこの順位ですが、それを抜きにしても、ボサノバだって歌えてしまうムニールの力量は素晴らしい!

3位アムル・ディヤーブ「カンミル・カラーマク
4位ナンシー・アジュラム「ヤ・タブタブ
5位エリッサ「バスタンナーク

3位以下はまあ、順当というかおざなりな選択でしょうか。アムルのは厳密には2005年リリースですが、今年よく聴いていた順に並べるとこうなってしまいました。ディヤナのハーレドとのデュエットが入ったアルバムや、レバノンのラップユニットAksserもよく聴いていました。モロッコのHasnaのアルバムは、ロターナに移ってから出たBambaを買いましたが、前作に比べると全然ダメでしたね。

レバノン、湾岸の新しい歌手たちについての目配りが全然足りてないですが、もとが「エジPOPレビュー」ですから勘弁して下さい。

フランス移民と音楽 [音楽]

早稲田大学で行われたアマジーグ・カテブの講演会に行ってきました。

AmazighKateb.html

ライブイベント『ラマダンの夜』で来日中の、グナワ・ディフュズィオンのリーダー。ライブの方にはひとっつも見に行けないのに、講演会だけ見に行くというのは反則だろうか?

でもひとまず彼が登場するなり、そのスターオーラに圧倒される。

司会の粕谷先生によると、アマジーグも1972年生まれ(つまり、僕と同い年)とのこと。それでたちまち親近感を覚える。もうね、世界中の1972年生まれを応援しますよ僕は。キ○タクもホリ○モンも、ヨン様もジネディーヌも、もうみんな。

グナワという音楽から現代フランス社会の状況まで、短い時間に色々な話題が盛り込まれたが、アマジーグの人柄もあってか終始アットホームな雰囲気で進む。ただアマジーグは結構喋り倒すタイプのようで、音楽性からスピリチュアルなことまで穏やかな口調ではあるがべらべらべらと喋り続ける。日本語通訳の方はかなり丁寧に訳して下さったが、いかんせん量が多い。やっぱり自分で直接聞き取れないというのは何とももどかしい。もっとフラ語ができればなあと思うことしきり。まあ、思っても詮無いことなんだけど。

印象に残った内容をいくつかメモしておこう。(いずれも記憶による再現によるメモ)

まず、90年代後半(つまり、フランスW杯の頃)にはバラ色のように見えたフランスの移民社会が、今は何でこんなことになっているのか?という質問に対してアマジーグは、当時フランスで流行ったライなどの音楽は、白人が移民に対して「ラジオを聞いてご覧なさい。我々はみんな君たちの歌を聴いているんだよ。君たちがこの社会で阻害されてなんているものか!」という、白人の側のアリバイ作りというか言い訳に用いられたんだ、というようなことを語っていた。

これを聞いて僕は、なるほど!と膝を打つと同時に、ずいぶん身も蓋もない言い方をするなあとも思った。それじゃあライなんて音楽は、飼い慣らされたへなちょこだ、って言ってるようなものだ。しかし、移民を代表して、音楽を武器に新たな戦いを挑もうとするアマジーグにとっては、これは決して譲ることのできない線だろう。移民音楽の先行者であるライは、彼にとっては乗り越えるべき壁なのだから。

..とはいえ、日頃エジプト辺りの飼い慣らされた音楽を聞いてる僕にとって見たら、まあ大目に見てやってよ、という気持ちもある。飼い慣らされようと、蔭でベロ出してるかも知れないんだし。

もう一点、アルジェリアで「原理主義者」に暗殺された歌手マトゥーブ・ルネス(こういう固有名詞が聞き取れずに難儀しました..)をどう思うか、との質問に対してアマジーグは、彼は一般に原理主義者に殺されたといわれるし、実際にもそのとおりなのだろうが、彼はまた当時のアルジェリア政府にとっても厄介な存在であった。彼の暗殺の罪は、アルジェリア政府と原理主義者、双方が負うべきである、という返答。

ここで僕は膝を打ちすぎて、膝蓋腱反射を起こして前の人の椅子をしたたかに蹴っとばしてしまいました(ウソ)。原理主義イコール音楽など外来文化の抹殺、というステロティップに対し、実に明快な答えをくれたものです。とはいえムスリムであるアマジーグがこれ以外の答えをするはずもないか。とすると質問者が何でその人物のことを持ち出してきたのか、その意図がつかめない。アマジーグからアルジェリアの原理主義者を批判する言辞を取ろうとする、やや意地悪な意図があったのでは?と思ったりもした。とはいえ、肝心のマトゥーブ・ルネスについて、僕は何の予備知識も持ち合わせてなかったので、誤解があるかも知れませんが。

でも何よりも一番印象に残ったのは、彼にとっての日本文化とのファーストコンタクトは「グレンダイザー」だった、という発言。そうか!さすがは同世代!でも、彼が見たグレンダイザーはアラビア語版だったのか、フランス語版だったのか、後者であるとしたら、アルジェリアのテレビ局を通してみたのかフランスなのか、ということが気になってきた。よっぽど質問しようかと思ったんだけど、バカだと思われるだろうから遠慮しました(笑)。

それにしても、あらゆる質問によどみなく答えるアマジーグは、とんがった彼の音楽のイメージとは対照的に、なんだか偏差値高そうな、文化資本の豊かそうな、つまりは育ちの良さそうなイメージを受けました。彼の音楽は「ノリ一発!」ってんじゃなくって、ちみちみといろんなことを計算しながら作ってるんだろうなあ、と。

それから客席にひょっとして、フランス語会話のミカエル来てた?あとパトリス・ジュリアン氏も?

やっぱり口を出すおじさん [音楽]

12660dea.jpg親レバノン、反イスラエルの論調がまたもわき上がっているアラブ芸能界。エジプトのこのおじさんも期待通りの反応を見せてくれている。

シャアバーン・アブドゥッラヒームである。(過去エントリその1その2

7月末に彼が発表した曲のタイトルはاتنين عساكر(Itneen Asakir, 二人の兵士)。今回のイスラエル軍による攻撃について、「たった二人のイスラエル兵士のために...」との批判が込められているのだろう。

すでにVideoArabMelody Entertainment等のサイトで動画が出回っているので、興味ある向きは是非ご覧頂きたい。今回のクリップには歌詞の英語字幕が付されており、たとえアラビア語が分からなくとも意味が分かる。さすがは「CNNアーティスト」のシャーバーンである。

この曲に関するいくつかの新聞の評は以下。記事によっては歌詞を紹介してくれているものもある。

Asharq al-awsat
«كام مرة أحذر من اسرائيل كلها فاكريني كنت بأهزر أهي بانت على أصلها علشان اتنين عساكر عاملين قلق كبير نسيوا المجازر والميت «مائة» مليون أسير زعلان على لبنان والبيت اللي نضرب كما راح فين صوت العرب شارون خلصنا منه قولنا ها نلاقي حل طلع اللي بعد منه أدل قالوا في العراق كيماوي الكل قال أمين أهي كترت البلاوي أفهم بس في مين خلاص بقينا مذة لب وترمس وشاي سورية ولبنان وغزة والباقي لسه جاي»

Haaretz - Israel News
"Oh Arab men, wake up."
"One thousand times I warned of Israel, they thought I was kidding," the song opens. "The truth is now clear. Because of two soldiers, they make a big fuss.
"They forget the massacres and the millions of prisoners. I feel sad for
Lebanon and its people who were attacked and also for Palestine. Where is the voice of Arabs?"

Daily Star Egypt

あいかわらず、深刻ぶればぶるほどおかしみのこみ上げる風貌のシャアバーンだが、英語訳詞を載せる意気込みは大いに買いたい。アラブスターたちも、非アラビア語圏に向けてどんどん声を上げるべき時である。

それから、この手のレバノン向けメッセージソングは実はSalmiya.netのPatriotic Songs - Lebanonのコーナーに新旧ずらりと並んでいる。rmファイルでダウンロードも可能。フェイルーズの「愛しのベイルート」など古典的名曲もあるが、ここ最近でまたぐぐっと数が増えている。シャアバーンの曲は下から103番目。

ナンシーのアイコラ画像 [音楽]

5475af43.jpgアラブの多くの芸能人が、イスラエル軍の攻撃によって犠牲となったレバノン市民への哀悼の意を表明している。

そんな中で出てきた画像がこれ。

ネタ元のalbawaba.comの記事によれば、レバノンの人気歌手ナンシー・アジュラムが、レバノン情勢に心を痛めて、クリスチャンであるにもかかわらず、イスラム教に改宗し、ヒジャーブをまとい始めた、と言う噂がネット上に流布しているらしい。

この画像を見て一瞬、以前ハナーン・トルクのヒジャーブ宣言がらみのコメント欄で、「この先ナンシーやモナザキーがヒジャーブ宣言したとしても驚かない」ということを書いたことがあったが、それがいよいよ現実のものとなったかと、どきりとしてしまった。

もちろんこの噂、全くのデマで、本人サイドは否定しているとのこと。ということはこの画像は、不謹慎なファンが作ったアイコラ画像か?それともalbawabaが作ったものか?よく分からないが、いずれにせよ、意外と良くできている(と言ったらそれこそ不謹慎か)。

まあ何もレバノンへの愛を表明するのに、みんながムスリム/ムスリマになって、ヒジャーブをまとわなきゃいけないなんて法はないだろう。以前、アラブのメッセージソングを区分するやり方として、アラブ主義、一国主義、イスラーム主義の3つの柱を立てたことがあったけど、このレバノンの事態においては今のところ、アラブ主義的な動きが目立っていて、イスラーム主義は控えめなように思う。それはもちろん、レバノンにおけるムスリム人口の少なさが大きく関係しているのだろうけど、イスラエルが周辺地域を攻撃すると、アラブ主義的な言説がわき起こってくる、と言う傾向も指摘できそうだ。

ナンシーについては、彼女が今般急遽レコーディングしたという、レバノンへのメッセージソング、「لبنان يا حبيب العمر(レバノン、命の恋人よ)」と言う曲をどこかで視聴できないかと探しているのだけど、未だ見つからず。アラブ圏では良く流れているらしいのだが、映像ならともかく音声となると、ネットで探すのが意外に難しい。

まずはディヤナ姐さん [音楽]

3520c157.jpg悪夢のようなレバノン情勢を受けて、アラブのポップスターたちも様々な活動を起こしている。レバノン国内から声を上げる人、国外から応援する人。

そんな中で、南レバノンの出身で、今は夫とUAEに住んでいる歌手のディヤナ・ハッダードが素早い対応を見せたように思う。

このElaphの記事にあるとおり、7月28日の時点ですでに、レバノンに捧げるキャンペーンソングのビデオ撮りを済ませている。

どこかでこのビデオクリップを視聴できないかと探していたのだが、この度ようやくリニューアルしたVideoArabのサイトでダウンロードできることを発見した!是非見てみたいという方は、LATES VIDEOSというコーナーの一番トップに来ている写真をクリックされたい。

10分の長尺クリップなので、心して見ること。レバノン国旗模様のTシャツ姿で歌うディヤナがかっこいい。最後のクレジットを見ると、「歌とプロデュース、ディヤナ・ハッダード」と、完全に個人名義になっているのも注目だ。

歌詞は以下のとおり。
أنا الأنسان والنسيان ثوبي
أنا وكلمة أنا أول ذنوبي
طالب العدل ولو كمن مظلوم
وإظلم لو كنت ببرج عالي
مكاني كله عل كتافي رفعته
والبيت اللي على كتافي رفعني
كم غصن بيدي وثمر قطعته
ولحم طير البراري ما شبع
إذا أملك القوة أنسى عقلي
إذا أملك المال أستعبد أهلي
وإذا شيّبت أكره همة الشباب
وإذا أمّنت أنسي اللي ورا الأبواب
وقت الخطأ أدفع غيري للنار
لا أقتنع ولا أشبع كيف ما صار
أريد الأرض كل الأرض ملكي
وأنا اللي يكفيني منها بضعة أشبار
بهمسلك في إذنك أنا مثلك
يمهلك ربي لا ما يهملك
ما أظلمك يا إنسان ما أقساك
من هالدنيا إش رح تآخذ غي الموت معاك
تراب بتراب وإيش نسّاك.


ちなみに彼女の公式サイトがオープンしていたので、それも挙げておく。

アクセルと発音させるらしい [音楽]

f602cb2e.jpg下のエントリでちょこっと触れた、レバノンのラップユニットAksserの公式サイト。

Aks'Ser

アラビア語でعنس السيرと書いてあるけど、DJのお姉さんは普通に「アクセル」と発音していた。ダブルミーニングなのかな。

この公式サイトでは、話題のHasnaとのコラボ作品「Ana mish illik」のビデオクリップが視聴できるので、興味ある向きは見られたし。

1996年結成、いくつかアルバムも出ていて、ジャケット写真を見るとかなりのふざけ具合でよい。通販サイトmaqam.comなんかで手に入る(ただいま注文中)。

ハモらない2人 [音楽]

dianaアラブを代表する歌姫と、ライの大スターとの競演。多くのアラブポップスファンは、サミーラ・サイードとシェブ・マミの2002年のデュエット「ヨーム・ワラ・ヨーム」を思い浮かべることだろう。

サミーラは元々モロッコの出身だが、エジプトでの活動歴が長く、歌う歌もすべてエジプト方言、ほとんどエジポップの歌手と言っていい。一方のマミはアルジェリア人。フランスを初め世界中のワールドミュージックファンが注目する大御所である。実際この2人の競演は大ヒットし、同年BBCのワールドミュージックアワードで、中東部門の最優秀賞に輝いた。

さて、近頃リリースされた、ディヤナ・ハッダードとハーレドのデュエット、「マース・ウ・ルーリー」もまた、レバノン生まれの歌姫ディヤナと、ライの王様ハーレドとの競演。実力派のこの2人の組み合わせは、サミーラとマミのカップリングにも決して見劣りするものではない。

ところが、一聴してみての第一印象は、

「なんだ、『ヨーム・ワラ・ヨーム』のぱくりじゃないか?」

というものだった。採譜したわけではないが、コード進行もキーもほとんど同じだ。イントロ部分にライっぽいフレーズを取り入れていると言う違いはあるが、歌の伴奏部分はもう「激似」である。

とは言え、ポップスにいちいちこういうことを言っても始まらない。ひょっとしたら作編曲が同じ人なのかも知れないし、コードが似てるくらいで非難していてはきりがないだろう。肝心なのは、歌手がそれをどう歌っているかというところだ。

ab5f2a86.jpg正直なところ、サミーラとディヤナを比べれば、僕は断然「ディヤナ派」である(ルックスのことを言っているのではない)し、マミとハーレドでも、ハーレドの味のある親爺ボイスの方が好きだ。しかし、そんな比較的好みの2人がいっぺんに歌い出すと、この曲の場合、2人の声が全く調和しないのである。どうしたことだ!?

「ヨーム...」でのサミーラとマミは、ユニゾン部分ではびしっとタイミングが揃い、さらにさびのハモりもばっちり聴かせ、なんとも心地よかったものだが、この曲のディヤナとハーレドは、それが全くない。2人がそれぞれ勝手に声を張り上げているという感じだ。それぞれのソロ・パートであればそれも良いのだが、問題はサビの部分。2人がユニゾンで同じフレーズを歌うと(当然ハモりはないのだが)、なんだか猛獣が吼えあっているようなすさまじい迫力になってしまう。顔に似合わずドスのきいたディヤナの地声と、こちらも意外と優しい声のハーレドの個性とが、同じ音域でかち合ってしまっているのだろう。

しかしまあどうだろうか。そもそも「ハモり」という概念すらなかったアラブポップスの世界では、2人の声が調和しようがしまいが、あまり大きな問題ではないのかも知れない。ディヤナとハーレド、2人の個性が最大限発揮されてさえいれば、どちらのファンも満足できるというものだ。それにビデオクリップでの2人の楽しそうな姿を見てもらいたい。特にディヤナ。なんだかずいぶんと若返っている。

(とりあえず、Al Bawaba Musicで視聴できます。)

要するに、アラブポップスファンもライのファンも、どちらも見て楽しめるような、お祭りのような企画なのである。

参考:la700n.comにこの歌のアラビア語歌詞が掲載されていた。この曲名の意味は?

ミリヤムが第一位に! [音楽]

51e26dd3.jpgElaphより

レバノンの女性歌手ミリヤム・ファーリスが、チュニジアのラジオ局「モザイクFM」が集めたネット投票ランキングで一位を獲得した、と言う記事。

いや、別にこのモザイクFMとやらのランキングがアラブ圏で特別に重要な意味を持つ、って言うわけでもなさそうだし、はっきり言ってどうでもいい記事なんだけど、いいでしょ、この写真(爆)。

ちなみにその「モザイクFM」のサイトはこれ。

Radio Mosaique FM, Tunisie

アラブ・ポップス、洋楽などの番組がメインのポップな放送局のよう。オンライン生放送のサービスがあるほか、芸能ニュースなどの音声アーカイブも豊富。意外と楽しめそう。ひそかにチュニジア方言の学習にはもってこいかもしれない。

ミリヤムの写真につられていろいろと調べてみたら、思わぬ拾いものがあったということで。

イーワーンとジャドはマブダチ? [音楽]

533d4ad2.jpgElaphより

まあどうでもいいような記事なんですが、レバノンの若者歌手イーワーンの新譜が4月末に出るそうです。で、新しいビデオクリップも撮影完了したそうで、撮影監督は「仲間(زميله)」のジャド・シュエイリー!「仲間」という単語のニュアンスがちょっと曖昧で、ただの話題作りという雰囲気が漂っています。ジャドも今までギャルのプロデュースばかりを手がけてきて、さすがにだんだん飽きられつつあると感じたのでしょうか、実力派のイーワーンと組んで巻き返しを図るつもりでしょう。

上の写真は同記事より、右からイーワーン、ビデオに出てるモデル、ジャド。2人ともひげ濃いめです。

夢はグラミー賞 [音楽]

11d2f453.jpegエジプトの「ぷちイスラミズム」を牽引するアゼリー系イギリス人歌手サーミー・ユースフ。エジプトでの人気はまだまだ健在のようだ。とある雑誌のインタビュー記事を発見した(英文)。

Egypt Todayより

去年9月にできたヘリオポリスのヴァージン・メガストアでイベントを行ったところ、数千人のファンが集まりその大半が女性だったとか。

預言者ムハンマドを讃える「ムアッリム(先生)」という歌で、エジプトで一大ブームを巻き起こした彼だが、そもそも彼が意図したのは、西洋に暮らすムスリムの若者に「ムスリムとしての誇りを持とう」とのメッセージを送ることだったらしい。それが、すでにイスラム教が根付いているエジプトのような国でヒットしたというのは、彼にとっては意外だった、と語っている。

最近では英語の他、トルコ語、ヒンディー語、そしてアラビア語でも歌っており、彼の歌はヨーロッパやアラブ圏はもちろん、トルコでもかなり流行っているという。まさに国際スター。ただし、ムスリム社会との接点が比較的少ない日本では、なかなか情報が伝わって来にくいタイプの国際スターだ。

このインタビューでは彼の生い立ちや人となり、それから歌に込められたメッセージなどを詳しく聴いているが、僕が知りたいような情報はあまり書いてくれていない。

僕が知りたいのはずばり、なんでエジプトで彼の曲が受けたのか?本人でさえも「意外だ」と言っているが、初めからビデオクリップのプロデューサにエジプト人を雇っているし、ロケ地もカイロだ。当初からエジプトで流行らせることを念頭に置いていなかったはずはない。予想以上にヒットしたと言う意味で「意外」だったというべきだろう。

思うに、彼の曲のメッセージがエジプトのムスリムのシャバーブにしっくり来た、というのもあろうが、なによりも、彼が「イケメン」であること、それから英語で歌う宗教歌というお洒落っぽさ、などなどの要素が重要だと思うのだが、どうだろう?押しつけがましくない、いい雰囲気のイスラーム。サーミーも言うとおり「説教されるのは誰だってイヤだろう?」ということである。

記事の最後の方で、エジプトで人気の若い説教師アムル・ハーリドとの親交ぶりをさりげなく語るサーミー。なかなかのくせ者ではないかと思う。

アラブの中のエジプト離れ [音楽]

2854453d.jpg先週水曜、チュニジアから日本に来ている方と話す機会があった。日本語ぺらぺらの方であったので、ずっと日本語で話していたのだが、どうやら彼はエジプト方言があまり好きではない様子だった。もちろん、エジプト以外のアラブ人の間では、エジプト方言は、通じはするがあまりよい感情は持たれていない、ということは僕も先刻承知だった。

しかし、僕を驚かせたのは、そのチュニジア人が「レバノン方言はきれいだ」という感想を持っていたということ。しかもその感想は、多くのチュニジアの若者にも共有されているらしく、それもこれも、今チュニジアで最も流行っているテレビ番組「スターアカデミー」の影響だと言うことである。

これまで、意図的にせよ無意識にせよ、様々な機会に、アラブポップスの中でのエジプト方言の優位性を語ってきた僕にとっては、身の引き締まる思いがした。もちろん、彼1人をもってチュニジアの若者全体を代表させることはできないのだが、しかし、今までの自分の考えを見直してみる必要はあるようだ。

さらに先週金曜のJFアラブ音楽講座、サラーム海上さんの講演で紹介された強烈なグナワの世界。モロッコにおける新しい音楽の指向性。カイロの音楽シーンとは全くかけ離れた世界が、アラブ圏に存在するということは、これまた僕にとっては大きな衝撃だった。

はっきりと言おう。

「今アラブ世界では、エジプト離れが進んでいるのではないか?」

今まで僕はこのことにうすうす気づいていながら、あまり認めたくない、という気持ちから、この話題からは目をそらしていた。

いや、以前雑誌『遠近』に書かせてもらった音楽コラムでは、最近のアラブ芸能界再編成の機運を指摘している。そこでは、エジプトの相対的な地盤沈下と、それに変わる湾岸音楽産業の興隆をあげていた。

しかし、くだんのチュニジアの事例に見られるような「スタアカ」ブームによるレバノン方言の流行、そして、モロッコのグナワに見られるようなアフリカンな影響などは、今まで考えても見なかったのである。やはり近年になって、エジプトはかつての求心力を失ったのだろうか?

否!否である。僕の心の中のエジプト人が反論する。

今でもまだ、エジプト人でもない歌手がエジプト方言で歌っているではないか!まだエジプトはアラブの中心なのだ!

しかし、である。冷めた目で考え直してみよう。今エジプト方言で歌っている非エジプト人歌手とは、どんな連中なのか、ということを。

例えば上の写真のマリア。albawaba.comの記事によると、次のアルバムは8曲のエジプト方言曲が入っているという。そのうち一曲は「ネフェルティティ」という歌だそうだ。ネフェルティティと言ったら古代エジプトの王妃、そんな歌を歌って喜ぶのはエジプト人くらいだろう。そう言えば「コーンフレーク風呂」のビデオクリップで世間を騒がせた「Elab」もエジプト方言だった。

それからハイファ、マルワ、そして大バッシングが起こっているダーナなんていうのも、みんなエジプト方言で歌っている。つまりは、セクシー系きわもの歌手が、軒並みエジプト方言で歌うのである。

彼女たちがエジプト方言を採用するのは、エジプトがアラブの中心だからではない。ずばり、エジプト市場をカモにしているのだ。ナワールもディヤナも、めっきりエジプト方言曲を歌わなくなってしまった今、エジPOP業界はエジプト人歌手以外、きわもの歌手がのさばる巷と化している。

しかし、それでもエジPOPファンは希望を失ってはいけない。そう、我々にはまだナンシーがいるのだ!グラビアを卒業しても、まだエジプト方言で歌い続けるナンシーが。ナンシー万歳!

グラビア卒業 [音楽]

5bb8144e.jpg今をときめく人気のグラビア・アイドルが、ある日突然「グラビア卒業」などと言いだし、「見納め水着」「最後のセクシー写」などと書かれた中吊り広告を通勤電車で見かけるたび、時代の流れの速さ、浮き世のはかなさを感じずにはいられない。このような感想を共有してくれる読者諸兄も多いのではなかろうか。

で、今のナンシー・アジュラムが、ちょうどそのような時期に当たる。

とりあえずは最近出た新曲「ヤ・タブタブ」のビデオクリップを見て頂きたい。

Melody Entertainment
Oghnia.com

一度聴いたら忘れなさそうなタイトル、キャッチーなサビのメロディー、小気味よいチャカポコのり、曲の方はいつもどおり決して悪くはないと思う。しかし、問題はビデオクリップ。大道芸のピエロに扮したナンシーは、このビデオ中、ほとんど肌の露出がない。彼女の出世作「アハスマク・アー」と見比べて頂ければ、その変化は一目瞭然だ。撮影監督は今までどおりのナーディーン・ラバキーだが、同じ監督の作品とは思えないほどの変わりようだ。

いや、出し惜しみをし始めたナンシーに対して、文句を言いたいのではない。むしろ喜んでいるのだ。当初きわどいセクシー路線でヒットし、今や全アラブを代表するアイドルとなったナンシーが、いよいよ正真正銘の「歌手(ムトリバ)」、子供からお年寄りまで楽しめる大スターへと脱皮するために、このような子供だまし的な...じゃなかった穏当な映像作品をもってきたのだ。真のナンシーファンであれば、この変化を喜ばないわけにはいかないだろう。

なお、タイトルの「タブタブ」は未だ単語の意味が分かりません。誰か教えて下さい。

チェルケス鶏は分からずじまい [音楽]

shab2下のエントリのコメント欄で、shu shuさんに教えてもらったとおり、MelodyHitsでこの歌のビデオが視聴できますね。あとVideoArabのフォーラムでも動画ファイルが出回ってました。曲名はKhallasna el-sabr kolloh(辛抱するのはもうやめだ)です。

Melody Entertainment

歌詞は『アッシャルク・アルアウサト』の記事の中に載っていたのですが、実際に聴いてみると、記事に載ってるよりもっとたくさん歌ってますね。まあそこまで聞き取ることはできなかったので、とりあえず記事の原文とその和訳をどうぞ。

خلصنا الصبر كله وبرضه مفيش حلولْ
أهي وصلت الإهانة للدين وللرسولْ
رسول الله محمدْ.. وإمام الأنبياءْ
عايزين يهزوا صورته السفلة الأغبياءْ
كل الأديان بريئة.. من اللي هانوا النبي
علشان دي ناس مجنونة.. وأكبر ما فيهم غبي
لو يقرا عن محمد.. ها يعرف هو مينْ
رسول الإنسانية.. الصادق الأمينْ
دنمارك إيه يا عالم.. حتى بتوع العجولْ
مين دول علشان يقولوا كلام على الرسولْ
ها أقول ومش راح أسكت.. والناس ها تقول
معايا عايزين مقاطعة شاملة.. وبرضه مش كفاية
لو كل الناس هاتسكت.. فيه رب اسمه الحسيبْ
عايزين عمل إيجابي.. في خدمة الحبيبْ

辛抱するのはやめだ、何も始まらないぞ
ほら信仰と預言者への侮辱が始まった
神の使徒ムハンマド、預言者たちのリーダー
奴らはその肖像画で、馬鹿者たちを怒らせたいんだ
どの宗教にも預言者をバカにするヤツなんかいない
狂った奴らのせいなんだ、馬鹿者がいるんだ
ムハンマドのことを本で読めば、それが誰だか分かるだろう
人間に遣わされた使徒、真実と信頼の人
デンマークがいったい何だ、たかが牛飼いじゃないか
預言者に難癖付けるなんて、こいつら何者だ?
俺は黙らないぞ、みんなで言うぞ
一緒に全面ボイコットだ、それでもまだ足りない
みんなが黙らされたって、尊い神様がいる
神様のためにリアクションを起こしたいんだ
「デンマークがいったい何なんだ」の後の部分が実はよく分からないので「???」でごまかしています(汗)。
(3/7追記。コメント欄のshu shuさんのアドバイスにしたがって書き足しました。)

4行目、「馬鹿者」と歌っている時に、映像ではデンマーク大使館に向かって投石している若者たちとおぼしき映像が入りますね。風刺画は論外だけど、暴力でそれに反対するのもバカ、という主張のようで、シャアバーン氏、意外と冷静でした。じゃあこれに対してどうするのがいいのかというと、「ボイコット運動」ということになります。まあこの辺が、今のエジプトの世論なんでしょう。

ところで下エントリの「チェルケス鶏」ですが、エジプト方言辞典で調べたところ、「首の禿げた鳥の一種」とあります。やっぱりよく分かりません。

シャアバーンもデンマークには [音楽]

da2cd03f.jpgまたまたアッシャルク・アルアウサト紙より。

シャアバーン「デンマークなんて鶏肉作ってるだけだろ」
シャアバーン・アブドッラヒームは近頃、デンマーク紙による預言者への中傷に反対する歌を発表した...
彼は言う「どうして預言者に対してあんなことができるのか、俺だって腹を立ててるんだ。」
シャアバーンは自らも、デンマーク産品すべてのボイコットを訴える列に加わっている。彼自身が本紙に語るには、彼の自宅にこのスカンジナビアの国に関わるものは一切入れないと決めたという。
シャアバーンは、デンマークが地球儀の上でどこに位置するのかはっきりとは分かってはおらず、彼の言葉からは、彼がその国を「チェルケス鶏肉が名物の国」と考えているようだ。...
チェルケス鶏肉???なんのことかよく分かりませんが、ともかくシャアバーン氏も腹を立てているようです。記事ではこの後、新曲で歌われている内容を紹介しているのですが、ただいま解読中。

ムスタファがデンマークに抗議 [音楽]

f17e40ce.jpg『アッシャルク・アルアウサト』紙より。

ムスタファ・アマル、フスハーでデンマークに抗議。大使館の焼き討ちは支持しない
歌手ムスタファ・アマルは、彼自身初めてとなる正則アラビア語(フスハー)の歌詞からなる、預言者ムハンマドに関する新曲の録音と撮影を終えた。
...ムスタファが本誌に語るところでは、この歌は4ヶ月前に録音したものだが、これは西洋による預言者への中傷に対しての最も雄弁な抗議だと思った。というのもこの歌は、彼の善行と美徳を増すものだからだ。怒号をあげたり大使館を焼き討ちするのと違って、これは中傷に対する最良の抗議だ。
...と語ったムスタファのセリフはきっとエジプト方言なんでしょうね。それはともかく、どちらかというと軟派なイメージのムスタファが、フスハーではどんな風に歌うのか、実に興味深いです。

脱パンダメーク?エリッサ [音楽]

c5fd79ba.jpgElaphより「エリッサ、新ビデオクリップで天使に」

ナンシーの新譜とかぶってしまい、ややインパクトが薄いですが、エリッサ姐さんの新譜も出ています。

写真は新曲「バスタンナーク(あなたを待ってます)」のビデオクリップの一場面で、天使の扮装をするエリッサ姐さん...こういうのはムスリム的にはどうなんでしょう?ちょっと気になります。不買運動など起こらねばいいのですが。いやもちろん冗談ですよ。

podcastで最新アラブポップス [音楽]

Radio Monte Carlo, Moyen-Orient

i-Tuneのmusicstoreで"Arab"と打ち込み検索すれば、アラビア語放送がいくつか引っかかるが、音楽関連の番組で見つかるのは今のところここだけ。毎週更新で、アラブポップスのトップ15(半端な数だなおい)を紹介している。

DJがレバノン方言のようで、おそらく順位もベイルートの人気を反映したもののようだ。先週まではずーっとアムル・ディヤーブのMa3ak bigaddが1位を独占していたが、今週ようやく3位に転落。

Ash-sharq al-awsatの関連記事

ハイファ最強説 [音楽]

18167ad4.jpg先日買ったNowアラビア日本盤をヘビーローテで聴いている。

大体どれもすでに聴いている曲なんだけど、こうやってヒット曲ばかりを立て続けに聴かされると、かなりテンションが上がる。

中でも一番テンションが上がるのが、7曲目、ハイファの「ヤ・ハヤート・アルビー」だ。去年出た彼女のアルバムの中でも群を抜いてサブリミナル度の強い曲だったけど、今回改めて聴いて、ますますその強いインパクトにやられてしまった。そばで聴かされ続けている妻(アラビア語は分からない)までも、いつのまにか口ずさんでいるくらいだから、その感染力はSARSレベルだ。

下に書いたとおり、今回のNowアラビアには歌詞のローマ字転写と和訳が付いていたので、それを元に多少手直しした歌詞を下に挙げてみよう。
3ayiz-n(i) a2ollak inni dayba min zaman fi hawak
bayin 3alayya sho2i lak wenta mish dari
6ab mish ha2ollak inna ru7i ya 7abibi ma3ak
arrab shuwayya min 3eneya te7ess bi-nari

ya 7ayat 2albi wa kull mona
ma3ak 3omri ma olt el-ah
wa la lela hawak bansah
ana koll keda milki hawak

3eneya teshofak 2albi bir2os mi l-gharam 7awalik
tigi 3eneyk fi 3eneya tela3i-ni maksufa
min yom lo2ana lel nahar wana bafakkar fik
min yom ma shoftak ya 7abibi w 3alek malhufa

ずっと前からあなたへの恋に溶けそうになってたって言わせたいの?
あなたへの思いはバレバレなのに、あなたは気づかない
じゃあ言わないわ、私の心はあなたのものだなんて
少しだけ近づいてくれれば私の目に火がついているのを感じるはず

ああ、私の心の命、すべての希望
吐息が漏れ続ける間、私の命はあなたのもの
あなたを思わない夜はないわ
私はすっかりあなたの愛の所有物

私の目があなたを見ると、あなたへの熱い思いで心が躍るの
目と目が合うと恥ずかしくてたまらない
出会ったその日から昼も夜もあなたのことを考えているわ
あなたを見たその日からあなたを忘れられない

hayfaビデオクリップで見せつけられるハイファの過剰なお色気、歌詞の方もそれに見合うような堂々たる過剰さがある。

ポイントはまず1行目の「溶けそう(dayba)」。この単語は「紅茶に砂糖を溶かす」という時と同じ動詞で、アラブポップスでも頻出単語だ。動詞第二形の現在分詞mudawwibとして「私の心をかき回す、とろけさせる人」というような使い方もよく見る。僕のような団塊ジュニア世代の人間はついつい柏原芳恵の「ハロー・グッバイ」の歌詞を連想してしまう(「♪あなたは銀のスプーンで~」。まあどうでもいいが)。

6行目の「吐息」というところは訳に困った。だって原語では「el-ah(الآه)」、つまり、「アー」という感嘆詞に定冠詞が付いているだけの表現なのだ。こんな表現ってありか?ハイファの歌い方からすると、吐息というよりは「あえぎ」とでも訳した方がいいかもしれない?

8行目の決めゼリフ「アナー、コッリ・ケダ・ミルキ・ハワ~」は、やはりハイファっぽい過剰なお色気をあまさず表現して訳したいところ。milkを「所有物」とすることで、納得していただけるだろうか(誰にだ)。

さあ、どうか皆さんもこの歌詞を見ながら原曲を聴いて、ハイファのきっついお色気に当てられてもらいたい。

エンタ・マスリ? [音楽]

7432937a.jpgサッカーのアフリカ杯で、開催国エジプトのナショナルチームが見事優勝したらしい。ジャパファンの冷たい仕打ちにも負けず(下記エントリ参照、まだ根に持つか!)、エジプトはどっこい頑張っている。当ブログも初心に立ち返り、エジプト応援モードで行きたい。

それで紹介するのがナンシーかい!と突っ込まないでほしい。確かに彼女はレバノン人だけど、この歌はタイトルの「エンタ・マスリー?(あなたはエジプト人?)」が示すように、エジプト人大大フィーチャーの曲なのだ。

この曲、今のところどのアルバムにも収められていないけど、去年現地のテレビなどを通して公開されて以降、大変な人気を集めているようだ。ネット上の各種音楽サイトではMP3やramファイルでダウンロード可能だし、ビデオクリップの動画ファイルも行き交っている。音楽ファンの集まるフォーラム上では、しばしば「アナ・マスリー(私はエジプト人)」と間違った曲名で呼ばれたりしているが、そんな間違いをするヤツこそエンタ・マスリーだろう。

(2/16追加。指摘を受け、確認したところ、正式名称は「アナ・マスリー」で、「エンタ...」の方が間違いでした。)

とりあえず聴いてみたい方は次のサイトへ。

6arab.com(タラブ):上から14曲め。
ナンシーのファンサイト:下の方にLaw sa2altak enta masryとあるのがそう。
Melody Entertainment:ここではビデオが見られます。ただし要登録。

歌詞の内容は以下の通り。VideoArabのフォーラムで拾ってきたローマ字転写&英訳を参考にした。
転写規則は2=ハムザ、3=アイン。(←アラビア語の文字が分からない人は、とりあえずどちらもア、イ、ウの音で読んで下さい)

law sa2altak enta masri
te2olli eh
te2olli masri wibn masri
w kull masri allah 3aleeh

2olha bi-a3la sot
w erfa3 ra2sak li fo2
ana masri w abuya masri
bi-samari w loni masri

2olha bi-a3la sot
w erfa3 ra2sak li fo2
ana masri w abuya masri
w bi-kheffet dammi masri
w kull masri allah 3aleeh
w kull masri allah 3aleeh


とりあえずは前半部分だけにさせて下さい(汗)。
で、和訳はこんな感じ。

もし「あなたはエジプト人?」って聞いたら
あなたはなんて言うかしら?
「エジプト人さ、エジプト人の子供さ
みんなエジプト人さ、神の恵みあれ!」って言うかしら

もっと大きな声で言ってみて
頭を高く上げて
「私はエジプト人、父さんもエジプト人
茶色い肌の色がエジプト人さ」

もっと大きな声で言ってみて
頭を高く上げて
「私はエジプト人、父さんもエジプト人
血の軽さがエジプト人さ
みんなエジプト人さ、神の恵みあれ!」


うーん、どうでしょう。ものすごく「がんばろう、エジプト!」的な応援ソングだと思いませんか?

茶色い肌、とか、血の軽さ、っていうのがエジプト人の大事な要素になっているのも面白いところ。特に「血の軽さ」っていうのはエジプト人にとっては譲れない美徳だそうで、「あんたは血が軽い(ダンム・ハフィーフ)」というのがエジプトでは「おもろいヤツ」という意味でほめ言葉になるというのはよく知られた話。ナンシーにこうやっておだてられたら、それを誇りに思わないエジプト人なんていないでしょう。

一応アラビア文字表記も。

لو سألتك انت مصري تقول لي إيه؟
تقول لي مصري وابن مصري وكل مصري الله عليه
قلها بأعلى صوت وارفع رأسك لفوق
أنا مصري وأبويا مصري وبسماري ولوني مصري
قلها بأعلى صوت وارفع رأسك لفوق
أنا مصري وأبويا مصري وبخفة دمي مصري
وكل مصر الله عليه


しかしまあ、こんな曲を聴いて喜ぶのはエジプト人だけで、ナンシーのエジプトへの強い思い入れのほどがうかがえるのだが、しかしナンシーは同時に、クウェイトだかどこかだかへのトリビュートソングも歌っていたりもする。もちろん母国レバノンの元首相ハリーリーへの追悼ソングにも参加しているし、さすがに人気者は四方八方への気配りが大変だ。

ともあれ、非エジプト人である我々のようなエジPOPファンは、この歌をマスターしてエジプト人の前で不意に歌ってやることとしよう。「ダンム・ハフィーフ」と呼んでもらえること請け合いだ。

2/16追加
後半部の歌詞は以下の通りです。
moluk el gad3ana
w di 7aga fi 6ab3o-hom
w 3ash2a lo-hom ana
w atmanna 7obb-hom

sherebt min nil-ha... masr
w 2albi 7anni l-ha.. masr
w 2olt aghanni l-ha
ghenwet ma7abba w far7

ya rabb ta7mi-ha
ya rabb khalli-ha
ensur-ha 3alee-ha
w e7mi-ha min kol sharr

すごいファイトの持ち主
それは彼らの生まれついてのもの
私は彼らのことが好き
彼らの愛が得られたらと思う

そのナイル川の水を飲んで
私の心は彼女(エジプト)を思う
私は彼女のために歌うと言った
愛と情熱の歌を

彼女を護って下さる神様
どうか彼女をお守り下さい
勝利を与え、高めて下さい
すべての悪事からお守り下さい

正直、gad3anaのニュアンスがよく分からなかったり、いくつか誤魔化してるところがもあるんですが、まあこんな感じです。間違ってるぞという箇所があったら指摘して下さい。

エジプト・パッシング [音楽]

ジャパファンがアラブ映画祭を今年もやってくれる。「恒例」になってくれていてうれしい。

Top>事業案内>文化芸術交流>トピックス>国内上映事業>アラブ映画祭2006

うれしいんだけど、ラインナップの中にエジプト映画が1つもないというのは、やはり解せない。アラブ圏の人口比から言ってもエジプトを無視するのは不自然だろう。

ジャパファン的には、高尚でシリアスなアラブ映画しか観てはいけないのだろうか?それともまさか『D.I.』で大爆笑しろとでも?

(いや、D.I.も面白い映画ではあるんだけど...と一応フォロー)

祝!日本盤発売 [音楽]

Now アラビア


EMI Arabiaから出ているアラブポップスのコンピレーション・アルバム、Now Arabia。現地ではすでに第八集まで発売されているようだが、今回その日本語盤が発売された。普段こういうコンピはあまり買わないのだけど、記念すべき初めての日本語盤、やっぱ買っておくべきだろう、と思って買ってしまった。

収録された16曲は、Now Arabia 8と同内容とのこと。ラインナップはこんな感じ(上記Amazon.co.jpにある曲目リストは間違ってるので注意!)。

01 Ragheb Alma - Nassini El Dunia
02 Nancy Ajram - Lawn Oyounak
03 Shereen - Ma Btefrahshi
04 Samira Saeed - Aweeni Beek
05 Elissa - Irham Albi
06 Hisham Abbas - Oul Alaya Magnoon
07 Haifa - Ya Hayat Albi
08 Darine Hadchiti - Eddam El Kel
09 Nawal Al Zoghbi - Bieynak
10 Mohamed Attieh - Ana El Habib
11 Ruby - Nazrah
12 Carole Samaha - Ghali Alayi
13 Asalah - Meta Shoofak
14 Iwan - Ahlan Wa Sahlan
15 Ranin - Habib Albi
16 Fatimah - Hadayak
17 Diana Haddad - Sahibi

サラーム海上さんによるアーティスト紹介は、いちいち的確。あと驚くべきことに、歌詞のローマ字転写と和訳が掲載されている。「歌詞聞き取り/英意訳 ハッサン・ヘジャイリ」と書いてあるので、おそらくこの日本語盤のため特別に用意されたものと思われる。いやーこれは助かります。アラビア語が分かる人ならこの転写からもとのアラビア語を復元できるし、アラビア語できない人も転写を読みながら歌える!歌詞の和訳は「英意訳からの対訳」とあって、決して厳密な訳ではないけども、ポップスの歌詞だしそれほど厳密でなくてもいいだろう。雰囲気が伝われば。

何よりも選曲が絶妙。これは発売元のEMIの手腕が光るところだが、全曲2004年のヒット曲ばかりで、例えばカイロの下町のカセット屋に行って、店員に「コクテール*1作って」と頼めば、ほぼこれと似たような選曲をしてくれるだろう。カイロやベイルートのシャバーブ*2がいかにも好みそうな曲ばかりだ。

ただし、敢えて注文するならば、2004年のヒット曲というならば、アムル・ディヤーブ、カーゼム・アッサーヒル、ユーリ・ムラッカディの3者は外して欲しくはなかった。アムルとカーゼムはロターナ所属で、このEMIから出てるコンピレーションには権利問題もあって入れられないのかな、とも思ったのだが、それにしてはハイファとエリッサは入ってるわけだし、...うーん、どうなってるんだ。まあNow Arabiaの7や9当たりにはちゃんと入っているのかも知れないけど。

とまあ文句が無いわけではないけど、現時点では、日本盤として手に入るアラブポップス最強のコンピレーション・アルバムであることは間違いない。日本にいて、これからアラブポップスを聴こうという人が、最初に手にして欲しいアルバムだ。もちろん2枚目にはアムルの新譜なりを手にして欲しいわけだけど。

この調子で次はDVD盤のNow Arabiaを発売して下さい!東芝さん頼みます!

*1 Cocktail、つまりコンピレーションのこと。エジプトのカセット屋では、店員が勝手に人気の曲をダビングした自作のコンピレーションを売ってくれることがある。もちろん不法コピーだが。
*2 Shabaab、若者のこと。

i-pod用歌詞カード [音楽]

下に書いたアムル・ディヤーブのCD、Arabia Towerのサイトで買ったのですが、装丁がチャチで、CDの裏面見たらCD-Rっぽい線が入ってるし、さらに驚くべきことに、背表紙には"Omar Diab"と書いてある!これはどう考えても正規盤ではありません。しかし、ジャケットにはダマスクスのオフィス(ロターナの?)の住所がしっかり書いてあるし、iTunesで読み込んだらちゃんとネット上から曲データなどを拾ってきてくれたので、一概に海賊版と断定もできない気がしています。ロターナ社公認の海賊版、といったところでしょうか。

海賊版に限りなく近い商品を買わされたと言うことで、心理的なダメージを負っているのですが、それ以上に、歌詞カードが付いていないのが痛い!ロターナの正規製品なら大体は歌詞カードくらい付いているはずなので。

しかし、便利な世の中になったもので、アラブポップスの歌詞も色々ネット上を探してみると、ファンたちがテキスト化してアップしてくれてるサイトもありました。その手の歌詞サイトについては以前のエントリで紹介したとおり。で、今回アムルの新譜の歌詞がないか探したところ、アラビア文字、ローマ字転写の二種類の歌詞を発見!どこのどなたか存じませんが、ホントにありがたい話です。

さて、連れ合いから教わったのですが、i-podをディスクとして使用する設定にし、そのディスク部分に曲の歌詞をテキストファイルで放り込めば、なんとi-podの画面で歌詞を読みながら曲を聴けるという、大変楽しげな技が使えるらしいのです。

さっそく「カンミル・カラーマク」の歌詞を加工して、試してみました。ディスク部分に放り込んだテキストは、こんな感じ。冒頭に簡単なタグを打ち込んでおく必要があります。

<A HREF="ipod:music?song=Kammel Kalamak">play</A>
<meta name="NowPlaying" content="false">
<?xml encoding="Shift-JIS"?>
1.
kammel kalamak
el-lila di ma3ak ana
kammel we olli
ya koll 3omry ya ana
di koll kelma
w enta ganbi olta-ha
ba7lam 7abibi
te2ol ba7ebbak ba3da-ha

*
ya shaghelni la la
la la la la la
teshghelni la la
we tesebni la la
kelmet ba7ebak
kelmet 7abibi
ah ya 7abibi
law olta-ha li
ya lala lala
ya lala lala

2.
e7sasi bik
ma ba2etsh ader awsefo
e7sas le-awwel marra
alby beye3rafo
ah ya 7abibi
ya koll 7aga fi donyeti
enta 3azabi
w enta bardo far7eti

行を細かく区切ったのは、i-podの狭い画面でも改行されずに表示されるよう気を付けたからです。

残念ながら、i-podは今のところアラビア文字に対応していないので、ローマ字転写です。エジプトアンミーヤ(方言)の転写については、確立した規則がなくてホントに困りものですが、ネット上で行われているような規則と、フスハー転写の規則をとりあえずは折衷させてみました。

子音については、
ق,ء=2
ع=3
ط=6
ح=7
ص=9
خ=kh
غ=gh
としておきました。
母音は、短母音がa,e,o、長母音がa,i,u。これだとaの短母音と長母音が区別付かないんですが、アンミーヤの場合そもそもaの単調の区別は曖昧ですから、まあ良しとしましょう。
もっとも、細かいところで不徹底があるかもしれませんが。

で、実際にやってみたところ、これは快適ですね。とりあえず「カンミル・カラーマク」に入ってる10曲分の転写テキストを用意したのですが、まるでカラオケ練習ソフトのようです。これはハマリますよ。

今まで、アラビア語の掲示板サイトなどで、歌の歌詞などをローマン・アルファベットでやりとりしているのをふしぎに思っていたのですが、なるほど、みんなi-podに載っけるためにあんな変な表記を使っていたんですねえ、ってそんなことはないでしょうが。まあ、いつかi-podがアラビア文字にも対応してくれれば、こんな苦労もいらなくなるんでしょうが。

韓ドラの主題歌のような [音楽]

ea0320a7.JPG正月に届き、かなり聞き込みつつあるアムル・ディヤーブの新譜「カンミル・カラーマク」。いつもながらのアムル節が堪能できる、安心の一枚だ。

初っ端ピアノの前奏から始まる「ウィ・マーロ」は、そのまま韓流ドラマの主題歌としても使えそうな、しっとりしたナンバー。切ないです。メローです。アムルもコブシ抑えめでしっとり歌い上げてます。

しかし2曲目、タイトル曲の「カンミル・カラーマク」では一転、ロックテイストのアップテンポ、アムルの歌いっぷりものりのりです。さらに3曲目「ワ・ヘカイタク・エー?」は伝統歌謡風のチャカポコのり、アムルのコブシも絶好調となります。

こんな感じで緩急取り混ぜた選曲、ちゃかぽこからラテンロック風味まで、十年一日のごとく、アムルの変わらぬ魅力が楽しめる。まあ悪く言えばワンパターンっちゃワンパターンなのだが。

それでもRotana移籍後のアムルのアルバムは、なんというか「アムル純度」がどんどん上がっているような気がする。何でそんな風に感じるのかと思って良く聴いてみたら、秘密はコーラス部分にあった。

最近のアムルは、コーラス部分に至るまで全部自分の声の多重録音でまかなっている。アラブポップスでコーラスといえば、男女混声のオクターブ・ユニゾンコーラスや、おやじボイスの男声ユニゾン(ナンシーの曲でありがち)が通常だが、アムルの場合は曲の中に他人の声を一切入れてないのだ。主旋律もアムルなら、副旋律もアムル、ハモりもアムル、なのである。

ヘッドホンで聴いていると、5~6人のアムルに取り囲まれているような迫力がある。全曲通して聴けば、頭の中に何十人ものアムルが巣くっている状態?昔からのアムルファンも、アムルの魅力に開眼したい人も、とにかく買いの一枚だ。

タマッリ・マアク [音楽]

deaa2d4a.jpg2000年のエジプトを席巻したアムル・ディヤーブの「タマッリ・マアク」。

久しぶりにCDを引っ張り出し、付録の歌詞カードを見ながら聞いてみたのですが、なぜか、書いてある歌詞と歌われてる文句が違ってました。特に二番の歌詞が全然違う!幻の三番の歌詞でも歌ってるのでしょうか?

で、ネット上にいくつか転がっている歌詞のローマ字転写、英訳などを集めてみたのですが(グーグルでtamally maak lyricsと打てばざっと見つかりました)、これらもサイトごとにそれぞれ微妙に違っていたりします。

というわけで「決定版」の歌詞は分からなかったのですが、色々見たのと耳で聞いたのとをあわせて、とりあえずは次のような歌詞を再構成してみました。
تملّي معاك
ولو حتى بعيد عني في قلبي هواك
تملّي معاك، تملّي في بالي وفي قلبي ولا بأنساك
تملّي واحشني لو حتى بأكون ويّاك

تملّي حبيبي بأشتاق لك تملّي عليّ من بدلك
ولو حواليّ كل الكون بأكون يا حبيبي محتاج لك

تملّي معاك
معاك قلبي، معاك روحي (عمري) يا أغلى حبيب
ومهما تكون بعيد عني لقلبي قريب
يا عمري الجاي والحاضر يا أحلى نسيب

繰り返し部分は適宜省略しました。
で、これをローマ字転写するとこうなります。ちなみに「3」はアラビア文字の「アイン」を表します。
Tamalli ma3ak
We law hatta ba3eed 3anni fi albi hawak.
Tamalli ma3ak, tamalli fi bali we fi albi we la bansak
Tamalli waheshni law hatta bakoon wayyak.

Tamalli habibi bashtak lak
Tamalli 3alaya men badlak
We law hawalaya koll el-koon
Bakoon ya habibi muhtag lak.

Tamalli ma3ak
Ma3ak albi, ma3ak rohi (3omri) ya aghla habib
We mahma tekoon ba3eed 3anni li albi areeb.
Ya omri l-gai we l-hader, ya aghla naseeb.

かっこ内は、一回目と二回目とで違う歌詞を歌っている部分です。どちらも同じ「命」という意味の単語ですが、間違っちゃったんでしょうかアムルは。

さて、お待ちかねの日本語訳ですが、なんつーかこういう日本語を打つっていうのはなんともこっ恥ずかしいものがありますね。いくら翻訳とは言え。まあ我慢して書いてみました。厳密な訳ではないのですが、何とも堅い日本語になってますので、適宜こなれた訳に変換してもらいたいところです。
いつも君と
例え遠く離れていても心の中で君を思ってる
いつも心に君がいて忘れられない
そばにいても君がいないようで寂しい

いつも君に恋い焦がれてる 君の代わりなんて誰もいない
世界中のすべてに囲まれていても 君のことが欲しい

いつも君と
最愛の人、僕の心と命は君とともに
例え遠く離れても心のすぐそばにいる
最愛の人、君は未来と現在

訳を作ってみて、「上手いこと言うなあ」と思った部分が4行目。「君がいないようで寂しい」と訳した部分は原語では"waheshni"、英語で言うなら"I miss you"。つまり、そばにいるんだけどいないみたい、という感じなのでしょう。2行目で「遠くにいるけど思ってる」というのと内容の上で対になっている表現でしょうね。上手いなあ。

歌詞がなければ歌じゃない [音楽]

アラブポップスの歌詞を網羅的に載っけたサイト発見。

la7oon.com

キャッチフレーズはلا أغاني بلا كلمات(歌詞がなければ歌じゃない)だそうな。ただし全部アラビア語。

ちなみにVideoArabのフォーラムにもArabicLyricsという板があって、ここならローマ字転写や英訳も載っていたりする。

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