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ハモらない2人 [音楽]

dianaアラブを代表する歌姫と、ライの大スターとの競演。多くのアラブポップスファンは、サミーラ・サイードとシェブ・マミの2002年のデュエット「ヨーム・ワラ・ヨーム」を思い浮かべることだろう。

サミーラは元々モロッコの出身だが、エジプトでの活動歴が長く、歌う歌もすべてエジプト方言、ほとんどエジポップの歌手と言っていい。一方のマミはアルジェリア人。フランスを初め世界中のワールドミュージックファンが注目する大御所である。実際この2人の競演は大ヒットし、同年BBCのワールドミュージックアワードで、中東部門の最優秀賞に輝いた。

さて、近頃リリースされた、ディヤナ・ハッダードとハーレドのデュエット、「マース・ウ・ルーリー」もまた、レバノン生まれの歌姫ディヤナと、ライの王様ハーレドとの競演。実力派のこの2人の組み合わせは、サミーラとマミのカップリングにも決して見劣りするものではない。

ところが、一聴してみての第一印象は、

「なんだ、『ヨーム・ワラ・ヨーム』のぱくりじゃないか?」

というものだった。採譜したわけではないが、コード進行もキーもほとんど同じだ。イントロ部分にライっぽいフレーズを取り入れていると言う違いはあるが、歌の伴奏部分はもう「激似」である。

とは言え、ポップスにいちいちこういうことを言っても始まらない。ひょっとしたら作編曲が同じ人なのかも知れないし、コードが似てるくらいで非難していてはきりがないだろう。肝心なのは、歌手がそれをどう歌っているかというところだ。

ab5f2a86.jpg正直なところ、サミーラとディヤナを比べれば、僕は断然「ディヤナ派」である(ルックスのことを言っているのではない)し、マミとハーレドでも、ハーレドの味のある親爺ボイスの方が好きだ。しかし、そんな比較的好みの2人がいっぺんに歌い出すと、この曲の場合、2人の声が全く調和しないのである。どうしたことだ!?

「ヨーム...」でのサミーラとマミは、ユニゾン部分ではびしっとタイミングが揃い、さらにさびのハモりもばっちり聴かせ、なんとも心地よかったものだが、この曲のディヤナとハーレドは、それが全くない。2人がそれぞれ勝手に声を張り上げているという感じだ。それぞれのソロ・パートであればそれも良いのだが、問題はサビの部分。2人がユニゾンで同じフレーズを歌うと(当然ハモりはないのだが)、なんだか猛獣が吼えあっているようなすさまじい迫力になってしまう。顔に似合わずドスのきいたディヤナの地声と、こちらも意外と優しい声のハーレドの個性とが、同じ音域でかち合ってしまっているのだろう。

しかしまあどうだろうか。そもそも「ハモり」という概念すらなかったアラブポップスの世界では、2人の声が調和しようがしまいが、あまり大きな問題ではないのかも知れない。ディヤナとハーレド、2人の個性が最大限発揮されてさえいれば、どちらのファンも満足できるというものだ。それにビデオクリップでの2人の楽しそうな姿を見てもらいたい。特にディヤナ。なんだかずいぶんと若返っている。

(とりあえず、Al Bawaba Musicで視聴できます。)

要するに、アラブポップスファンもライのファンも、どちらも見て楽しめるような、お祭りのような企画なのである。

参考:la700n.comにこの歌のアラビア語歌詞が掲載されていた。この曲名の意味は?
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