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男は背中で育児する? [育児]

世の中、イクメンばやりである。

育児参加については、自分で言うのもなんだが、僕はかなりがんばっている方だと思う。しかし、「我こそはイクメンである!」と天下に名乗りを上げるのは、やはりこっぱずかしさが漂う。とはいえ、「あんた、イクメン、がんばってるね」と言われればはあそうですかねと答えて特に否定はしないし、「○○さんの旦那さん、イクメンざますわね」と言われればきっとまんざらでもない気がするだろう。

そんなわけで僕はイクメン擁護派というか便乗派にあたるわけだが、どうも最近、イクメンを非難する人たちも増えているようだ。以下、ツイッター経由で拾った情報を概観してみる。

まずいちばん目につくのは、「イクメン」という言葉の響きがかっこわるい、ださい、という批判。育児をする人しない人、男女を問わず聞かれる。まあこれに関しては僕も同感な訳で。これは以前はやった(今もはやってる?)「クールビズ」と同じような現象だろう。ださいキャッチフレーズも、使い続けるうちに既成事実化していくものだから、せいぜい使い続けていってほしい。

で、より根が深そうなのが、「男は背中で育児する」系の言説。

たとえばこの記事を見てもらいたい。

「現役パパに言わせて!「僕が思う、父親としてのあり方」前島大介」
http://blog.livedoor.jp/lifenet_seimei/archives/50497686.html

この記事の著者は、イクメンを真っ向否定こそはしなていないものの、「メディアの取り上げ方を含め疑問に思う部分も多」いと述べる。以下、記事より引用。
お風呂に入れるのが上手。オムツ換えの手際がいい。遊ばせ上手。などなど、それらはどれもすばらしいことだけれど、あくまでもオプションであって父親としての基本スペックではありません。(…中略…)子どもと一緒にいる時間を増やし、お世話することで、安心しちゃっていませんか? 嫌な言い方ですけど、自己満足しちゃっていませんか?
先述のとおり、目先のお世話だけで自己満足していては、本当の意味で育児ができているとはいえないということを、忘れちゃいけないと思うんです。過去に栄冠なんてなかったとしても、息子に、娘に、自慢に思ってもらえるような父親になりたいですね。子どもに対しての深い思いと、それを背負った上でどれだけ自分のワークスタイル、ライフスタイルに自身と誇りを持って取り組めているかが、言ってみれば“父親力”であり、それを高めていくことが父親としての自分磨きなのではないかと。

子供と過ごす時間を長く持ち実際に育児労働を担う、ということを「自己満足」ではないかと疑問を投げかけ、それよりは、子供に父親である自分のことを「自慢に思ってもらえるような」「ワークスタイル、ライフスタイル」を高めるべき、という主張を展開している。

子供の世話が「自己満足」という物言いは、奇妙な感じがする。なぜなら世話をして「満足」するのは本来子供の側であり、世話を分担して受け持つことで配偶者(母親)だって「満足」するだろうからだ。決して父親一人の満足のためだけにはならないはずである。

そもそも、「自己満足」という言い方は、自分の生き方を示すだけで「自己満足」していないか?という反省にたち、男も育児参加すべきだと主張する、現在のイクメン推進派が好む表現のはずであった。それをこの著者はあえて逆手にとって、育児参加こそ自己満足、と言っているようにも見える。

もっとも、前島氏はそこまで攻撃的な言い方で、イクメンを非難しているわけではない。氏はこの記事で、ある種の人々の持つイクメンに対するやっかみを、ソフトに代弁しているに過ぎないのだ。
僕の周りには、そもそも育児休暇を取れるような企業に勤めている人が少なく、代々続く個人商店を継いでいたり、建設現場で日夜汗を流すガテン系だったり、変わったところだとスポーツ選手だったり。そんな親父仲間が多くいます。みな、子どもと一緒にいられる時間は限られていて、休みも不規則だったり、「もう 3ヶ月まともに休んでない」なんて人も。

これを見ると、前島氏の想定するターゲットは商店主・ガテン系労働者(とスポーツ選手)であり、男でも育休をとれるような(大)企業の勤め人と対比されているように見える。

「おれら庶民は、育休なんてとれねーよ」
「子供との時間なんて、仕事が忙しすぎて、もちたくてももてねーんだよ」

というような人々の叫びをすくい上げ、「男は自分の生き方を示すだけで十分」と安心させている。「背中で育児」系の言説は、このような社会的機能を持っているように見える。

つづくかも。
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