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本物は「あたし」なんて言わない [音楽]

映画や音楽の世界にあまた出没する「不思議ちゃん」について、日頃から僕は否定的な評価を下すことが多い。しかし、こと、元ちとせという歌手に関しては話は別だ。彼女は本物だ。

さて、昨日mixiの芸能ニュースで知ったのだが、そんな彼女が今、反戦歌を歌っているらしい。詳しくはこのニュースを。彼女の所属事務所の公式サイトでそのライブ映像が見られるとのこと。

さらにYoutubeを調べてみると、なんと元の後ろで坂本龍一教授がピアノ伴奏している原爆ドーム前パフォーマンス、なんていう映像も落ちていた。これはすごい。

教授のピアノ、音でか!
この映像を見て非常に気になったのだが、元ちとせが「わたし」と歌っている箇所を、字幕では「あたし」と振っている。この「わたし」と「あたし」の違いが最近非常に気になるのだ。あくまで僕のイメージだが、「あたし」と歌ってしっくり来るのは一青窈レベル。元ちとせ級ともなれば、そこいらの似非不思議ちゃんとは格が違うので、「わたし」と歌うのが正解なのだ。字幕をつける人はそこのところをよく理解して頂きたかった。

ところでこの歌、ニュースでは、訳詞は中本信幸、作曲は外山雄三(編曲は坂本教授)となっている。ところが他にもこの曲名でぐぐってみると、訳詞は飯塚広、作曲木下航二、っていうバージョンもあったりする。このサイトによると、後者のバージョンは1957年発表、原水禁の集会や歌声喫茶を賑わした人気曲だったという。メロディーとかは全く別物だが、ベースとなった詩がおんなじ、といわけだ。

で、その原詩だが、ナジム(ナーズム)・ヒクメットというトルコの詩人が書いた「少女(クズ・チョジュウ)」という詩だそうだ。杉田英明先生の本で、エジプトの詩人が書いた日露戦争を祝す詩、とか、トルコの詩人が書いた関東大震災を悼む詩、とかが紹介されていたのを思い出すけど、その系列の詩なのかなとふと思った。(後期の授業のつかみに使えるかな、とふと思った)

上のニュース記事で、「ロシア文学者=中本信幸氏が日本語に訳し」とあるので、「あれ、トルコ語の詩じゃないの?」と疑問に思ったのだけど、ヒクメットは社会主義的思想からトルコ本国政府に目をつけられ、ソ連に亡命して詩作を続けたと言うことらしいので、「少女」という詩自体もロシア語圏で流行していた、ということなんじゃないだろうか。まあ、日本語訳も出版されているのでちょっと調べてみましょう。

ちなみに、英語版wikipediaナーズムの項目はこれ。この曲英語圏でもずいぶん歌われているようだ。日本語版についても書いてあるけど、元の肩書きが「famed Shima-Uta singer」となっている。見たところ英語版では57年版の話は書いてないようだけど、トルコ語版を調べてみれば詳しく分かるかな。
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