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革命後のカイロキーの軌跡(まとめ) [音楽]

(タイトルを改めました。1/31)
去年の1月25日革命で「自由の声」をリリースし、一躍人気者となったエジプトのロックバンド、カイロキー。若者たちの絶大な支持を受けつつ7月にリリースした2ndアルバム「指導者を求む(Matloub Zaeem)」には、こんな曲も入っていた。おそらくはこのアルバムの中で、「自由の声」とタイトル曲「指導者を求む」についで人気の高い曲だろう。

「翼を広げて」(生放送テレビ番組ライブバージョン)

「君は何だって夢みることができる 君は希望そのもの
君が求めるものすべてが 君の中から君を呼ぶ
過ぎたことは忘れよう 自分で運命を書くんだ
死んだ夢を目覚めさせよう 心の中の言葉を叫ぼう
 翼を広げて飛び上がれ 天井ははるか空の彼方
黙っている間に考えろ 自分の心の中を探せ
色を塗れ、絵を描け 心を開いて輝け
道のりは遠くはない 君は一人じゃないと信じるんだ
すべてが新しい 今こそ君の時だ、きっと
 翼を広げて飛び上がれ 天井ははるか空の彼方
彼らは君を遠ざけようとする 君の視界を遮り、帰そうとする
生かすも殺すも彼ら次第 君が存在しないかのように
 翼を広げて飛び上がれ 天井ははるか空の彼方」

なんとポジティブな歌であろうか。歌詞も曲調も希望に満ちている。

7月の時点では、カイロキーも、タハリールに集まったシャバーブ(若者たち)も、天井知らずの希望の中を、「翼を広げて」飛び立つ気分でいた。もちろん彼らには、「君が存在しないかのよう」に振る舞う傲慢な敵の姿が見えていたわけだが、「今こそ君の時」と言い切れるくらいには楽天的であった。

このポジティブなメロディーはこの後、コカコーラのCMソングにも採用されている。


その後、このブログでも紹介しているとおり、軍と若者たちの間の緊張は高まっており、昨年11月には「広場よ」という曲が出た。革命直後の高揚感は消え失せ、さらなる戦いに望む静かな決意がみなぎる曲だ。

そして革命1周年を機にカイロキーが発表したのがこの曲。

「その場所を動くな」feat. Zap Tharwat

「その場所を動くな ここがお前の居場所
恐怖心はお前を避けていくが 良心は裏切らない
その場所を動くな 日の光は戻ってくる
立ったまま死のうと ひざまずいて生きていようと
その場所を動くな お前はその目で証拠を見る
ヤツらから離れろ ヤツらに壁が倒れかかってもほっておけ
その場所を動くな 祖国の心は傷ついた
自由の声は すっかり遠吠えになった
 お前の言葉は理解されない お前の気持ちは表現できない
 お前が尊厳を口にしても ヤツらは侮辱で答える
 お前が正義を口にしても ヤツらは馬鹿にして返す
その場所を動くな ここがお前の居場所
恐怖心はお前を避けていくが 良心は裏切らない
その場所を動くな お前は夜明けの光
お前がスローガンを叫ぶ声は 銃弾や裏切りの声より大きい
その場所を動くな アザーンの声に祈れ
神はお前の味方だ 真実と正義と平和という名を持つ
その場所を動くな 兄弟と肩を組んで
魂が去ったとしても 思想は決して死なない」

「その場所(お前の場所)」とはタハリール広場のことだろうか。1年前に若者たちの心を沸き立たせたあの「自由の声」が、すでに「遠吠え」となっているという歌詞が悲しい。しかし彼らは「日の光は戻ってくる」と信じて、今日も広場に集まっているのである。にしてもZap Tharwatのラップはかっこいいな。(まだ訳していませんが)。

昨日NHKで放映されたBS特集「革命のサウンドトラック~エジプト・闘う若者たちの歌~」のラスト近く、アルジャジーラの記者が語っていた、「この後エジプトは、ムバラク時代よりもなお悪い独裁政治に移行する可能性がある」との不吉な予言が、実現しないことを祈りつつ。
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