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京都大学物語 [読書]

関西生活も早五ヶ月が過ぎようとしている。関西と言っても海辺の方なので、京都なんていう内陸の雅な所とには、なかなか足を踏み入れられずにいる。が、後学のためにこんなのを読んでみた。
鴨川ホルモー
京大、京都産業大、立命館、龍谷大と、京都市内にキャンパスを構える4大学が登場するので、「京都キャンパスガイド」的な読み方ができるのがおもしろい。何大学のそばには何神社があって..、というのが、陰陽五行に基づく独特の世界観でもってマッピングされているのだ。京都の地理に元々詳しい人であればなお楽しめるのだろうが、僕のような初心者でも十分乗れた。

こういう妙な世界観は、『鹿男あおによし』でも見られたパターン。というか『鹿男』の方が新作なので、『ホルモー』の方がルーツなのか。

『鹿男』は先のテレビドラマ化の際に非常に惹かれるものがあったのだが、この手のドラマを毎回欠かさずチェックして鑑賞するという年齢でもなくなってきているせいか、1,2度見ただけで終わってしまっていた(武侠ドラマなら毎週録画してるくせに)。ところが最近になってこれも原作を読んで、玉木ンの「おれ」やはるかタンの「藤原君」ならじっくり見直してもいいかなと思い始めているところだったりする。DVDレンタルは始まってるんだろうか。

さて『ホルモー』だが、主人公を含め主な登場人物はみな京大生。こういう大衆的小説で、高学歴学生ばっかり出てくるのも珍しいんではなかろうか。

高学歴と言えば、漫画になってしまうが『東京大学物語』をついつい思い浮かべてしまう。そんなに熱心に読んだわけではないがあの作品だと、主人公たちの「東大」への思い入れはずいぶんと気合いが入っており、正直疲れるテンションの物語だったような気がする。まあ江川の作風のせいでもあるだろうけど。

ところが『ホルモー』の場合は、登場人物みなが京大生であることなんてほとんど気にすることなく読めてしまった。「イカキョー(いかにも京大生)」な高村なるキャラクターは出てくるが、その使い方も実に巧みでさりげない。なんというか、気負いや嫌みが感じられない。『東大物語』から10年くらい経っているだろうか。この間東大生、京大生というものに対する世間のとらえ方も、ずいぶんとソフトなものに変わってきた、ということか。

あと大学のサークルを舞台に、っていう設定がうまいなと思った。「京大青龍会」だとか「龍谷大フェニックス」だとか、いかにもありそうでなさそうなサークル名。名前だけ聞いたら、いったい何やってるサークルなんだか分からない感じ。そういうの、自分の学生時代にもあったなあ。小説の中では「イベントサークル」なんていう風に説明するシーンもあったし。そういう、大学のサークルのなんでもありな雰囲気と、京都の歴史の風合い漂う混沌とした感じ。うまい取り合わせだ。

なんだか夢中になって、続編の『ホルモー六景』まで読んでしまった。「丸の内サミット」の続きも気になる。東京で言うとどの辺の大学が出てくるんだろうか。あと「イカトー」って言う言葉はあるんだろうか。
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