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イランのちびまる子ちゃん [読書]

とどこかのサイトに紹介されていた「ペルセポリス」という本の、続編。

Persepolis 2: The Story of a Return第一巻については12/28付けブログに書いたとおりで、年内に読み終えたのだが、下のブログではなぜか画像が表示されていないので、今度は第二巻の方を紹介しておく。これなら多分画像も写っているはず。
著者は1969年生まれ。10歳の時にテヘランに住んでいて、イラン革命を体験している。 イラン革命、イコール「イスラム革命」みたいに捉えられがちだが、少なくとも当初はイスラーム的な方向性を持っていたわけではなくって、著者の叔父のような社会主義者なども荷担していたということが、よく描かれている。著者の両親もかなりのマルキシストで、幼い娘に「まんが唯物論」みたいなものを与えたりしているのが面白い。 そんな環境に育った著者だが、幼い頃は想像の中の「神様」と会話したりする少女だった。で、その「神様」というのが漫画で描かれているのだが、イスラム教の神様なので、ターバンを巻いていたりするのかと思いきや、僕などが思い浮かべるような、杖をついた白髪の老人の神様像なのだ(七福神のようなのじゃなくって)。このイメージってどこから来ているんだろう?僕の場合は映画の「天地創造」なんかに出てくるのがその原型だと思うけど。いやそもそもイスラム世界の神様というのはどういう姿で描かれるんだろうか?エジプトなどでは神様が漫画に書かれるということはまずあり得ないが、イランでは(革命前は)よく描かれていたのだろうか?...ともかくそんな小さなところからも、当時のイラン社会を身近に感じさせてくれるような道具立てがそろっている。 また、革命後のイランはイラクとの戦争に突入するが、そうすると著者は、マルキシストの父親ともども、愛国一家に変貌する。「バグダードに空爆すればいいのに」などと居間でテレビを見ながら話し合ったりするのだ。著者は学校の課題で、「アラブ大征服とこの戦争」というような作文を書いている。もちろんそんな変貌ぶりも、この著者独特のシニカルな語り口によって、良い具合にぼかされて滑稽な感じに描かれている。ただし前書きの文章はやや「愛国的」な感じが鼻につくかな個人的には。 下にも描いたとおり、この物語は著者の成長物語でもあって(というか成長物語の方がメインで)、白髪の神様から自立し、最後には両親からも離れて独り立ちする、という風に描かれている。 表題の「ちびまる子」ちゃんやさくらももこの著作は実は僕は全然読んだことがないのだが、どうも作者と同年代の方々の郷愁を誘うようなものらしい。僕にとっては、こっちのイランのちびまる子ちゃんの方が、世代も近くて共感できるものが多い気がする。ってすごく遠い国の話ではあるので、一口に同世代とまとめるのはやや強引なのだが。 というわけでようやく届いた第二巻の方も、これから読んでみるつもり。
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